名古屋市内に店舗を構え、東京・大阪などで開催されるPOP UP SHOP も大人気の Vintage used shop『SOME/care』
今回はオーナーである、五藤和代さんに「今に至るまでのルーツ」と「これからの想い」をお話ししていただきました。
五藤さんから溢れ出す、素敵な世界観をお楽しみ下さい。
ーそもそも、なぜ販売するものを古着にしたのですか?
新しく洋服を生産するという事に興味がないんです。今、古着に限らず洋服や生地が世界中に溢れていて、まだまだ着られるモノが捨てられています。それくらい洋服が、生産に対して需要が追いついていない状態なのは知っていましたし「可愛い洋服がこんなに沢山あるのに、さらに作る必要性があるのか?」と思っていて。今は海外にスタッフがいて『SOME』『care』それぞれのコンセプトに合わせたものを送ってもらうスタイルで買い付けています。毎回送られてくる古着は可愛いものばかりですし、こんなにコンディションも良いのに捨てられるかもしれない事が悲しくて。今の時代には無い、可愛いデザインや素敵なテキスタイルも沢山あります。それは古着だからこそ味わえる良さだと思うので私は古着を売る事を選びました。
これは私のこだわりなのですが『SOME/care』の店頭に並ぶ洋服は全て必ず洗濯をしています。実は、私めちゃくちゃ匂いに敏感でほこりも得意ではなくて。誰かが着たものを、そのまま販売する事も違和感があるので一度洗濯をしてから店頭に出しています。
手間もコストもかかるのですが、お客様が心地よく商品を選んで頂来たいと思って全て洗うようになりました。ウールのものに関しては、水洗いが出来ないのでクリーニングに出してから店頭に出しています。古着の中には洗えない物も沢山あるのですが、基本的に洗えないものは最初から仕入れない事にしているんです。その理由でレザーアイテムは扱っていません。例えばレザーシューズは劣化すると靴底が抜けたり、内側がめくれてきます。せっかく気に入って購入して頂いたのに、お客様が履いている時に破損するのは避けたいので取り扱っていません。『SOME』でのお買い物で嫌な気分になる事がないようにするという事は常に心掛けています。
ー『SOME』『care』それぞれの店名に込めた想いを教えていただけますか?
『SOME(サム)』は「何かの一部に」という意味があり、「お客様のワードローブの一部になれたら」と思って『SOME』と付けました。『care(カレ)』の方は英語の「care(ケア)」のからきていて『気配り』とか『気にかける』という意味が含まれています。その気持ちを込めたのと、お客様の彼氏の様にサポートしたいという意味で『care』にしました。
それぞれ、コンセプトは分かれていて『SOME』はPOPで色合いもカラフル、一点で自分らしさを濃く出せるアイテムをラインナップしてます。服だけでなく雑貨も音楽もアートなどのカルチャーにも興味があり、自分らしく自己表現を楽しんでいる方に向けたセレクトを意識しています。
『care』は、くすみ系カラーで、ベーシックなアイテム中心に『古着初心者』の方もトライしやすくて、既製品とMIXしたコーディネートをしやすいアイテムを揃えています。普段ブランドアイテムやセレクトショップなどでお買い物するのが好きで、古着はコーディネートのポイントとして合わせたいという方に向けたセレクトにしています。
ー去年から続くコロナ禍ですが、コロナがきっかけで変化はありましたか?
コロナが始まってからお客様に安心してお買い物をしていただける事を第一優先に考えて、営業スタイルを『完全予約制』にしました。Instagramのダイレクトメッセージからご予約連絡頂き、お客様がどんなアイテムをお探しなのか?等を事前にお伺いして、ご希望の洋服やアイテムを揃えて店内ですぐ観て頂けるようにしています。『SOME』のテイストがお好きなお客様なら『SOME』のテイストの割合を多くしたりして、お客様1人1人の専属スタイリストのようにお客様に合わせて店内のラインナップをガラリと変えています。
後は、ご来店が難しいお客様には通販もしています。通販される方は初めてご利用される方もいらっしゃいますし、コロナ禍なので今まで来店できた方も通販される場合もあります。何度も購入頂いているお客様が通販される場合は、今までお買い上げ頂いたアイテムや、お手持ちのお洋服とのコーディネートをイメージして、店頭で接客するようにコーディネートや好きそうなアイテムをご提案させて頂くこともあります。コロナ禍で出来ない事もありますが、お客様のご希望に応えながら、お気持ちに寄り添って、できる限り喜んで頂ける様に心掛けています。
それから今、新しい試みとして精神・身体的にハンデがある方とのお仕事を始めました。
『サスティナブル』という言葉が一般的に知られるようになり、みんなで持続可能な生活をしていけるのが一番いいなって思っているのですが、コロナ禍の状態で仕事が無くなる人もいたり、貧困に陥る人がいたり、周りの人がそうなるのも胸が痛みますが雇用を私が増やせるわけではないし、環境問題を改善できるほどの資産はないので(笑)「私たちが身近で出来るサスティナブルってなんだろう?」って考えていた時に、知り合いに障がい者施設の方とコンタクトが取れる方がいたので「一緒に何かしていきましょう!」という話になって。
そこから具体的に「どんな事なら一緒に仕事ができるか?」を考えて今はすぐ出来る事として、お買い上げ頂いたお客様にお渡ししているクッキーの梱包作業をお願いする事になったのです。
クッキー自体は製菓店にお願いしているのですが、「袋にただ入れるだけの単純な作業だけでも、『出来る事が増えた!』がすごく喜びになる」と言っていただけたので、そういう手ごたえを創る事を私たちがサポート出来るなら是非!ということでお願いしています。
他には、商品につけるタグを作って頂いたりしています。あと、商品には出来ないシミやキズがある洋服を使ったバックを作って頂いたりしてます。作業所の方には生地となる洋服だけをお渡ししていて「好きなように作って下さい」と全部お任せでお願いしているのですが、生地の組み合わせや切り替えがとても素敵で!ボタンホールだった所やポケットを使っていたりして、「洋服だったんだ」というのが分かるのがまた良くて。いつか販売も視野に入れて考えています。
作ったバックをノベルティという形で配るという事も出来るのですがそのやり方だと、こちらに負担がかかります。販売して売り上げ利益が生まれれば、ずっと継続して仕事をお願いする事も出来るので今はそこを目指しています。
廃棄される洋服をバックとして活用することで市販のビニール袋の削減でエコに繋がっていく。「バックを作る」というひとつの事なんですが、工程の繋ぎ方次第でみんなで良い方向にいけるのが理想ですし、目標としています。
バック以外にもフェイスカバーも廃棄される洋服で作れたら良いなと思っています。現在『SONE/care』では不織布の使い捨てのフェイスカバーをご利用頂いているのですが、環境に配慮したものにだんだん変えていきたいです。まだまだ微力ですが、『SOME/care』らしく「サステナビリティ」な活動を継続的に続けながら、みんなで持続的な生活が出来るように考えています。
ー今後の新しい計画などはありますか?
時期はまだ未定なのですが、東京出店も考えています。東京での「POP UP SHOP」で沢山のお客様に足を運んで頂けたり、通販も東京の方が多いので、東京の店舗をオープンする事で喜んで頂けるお客様が多いかなと思って。はっきりとした時期は決まっていないのですが、東京店をいつかOPENしたいですね。
下半期の大きな動きとして『SOME』が元々あった場所にギャラリーをOPENします。
実は『care』のある場所は『SOME』の2店舗目となる『SOMEt』というギャラリースペースだったんです。
SOMEt』はギャラリーとしてだけではなく、受注会・ワークショップなどこれから店舗を開いてみたい方などにSHOP作りの楽しさを味わっていただくスペースとして活用して頂いてました。ご好評いただいていたのですが、コンセプトに合う作家さんを定期的に探すのが困難な事と、その当時『care』をOPENする予定で、色々と物件を探していたのですが、中々良い物件に巡り会えず、『SOMEt』の場所で『care』のPOP UP SHOPをしていた事もありそのまま『care』としてOPENする事になったんです。
『SOMEt』はcloseしてしまったのですが、私自身ARTも好きなので『いつかギャラリーをまたやりたいなと思っていて2020年3月まで『SOME』があった場所で、新しく『ii』(イイ)というギャラリーをOPENします。
今、店内で什器として使っているものも大きなボルトだったり、透明なパイプだったり、本来の使用目的と違うものを使っていたり、アンティークのものは何に使えば良いか分からない物もあって。実用的では無いんですけど、「素材や質感が好きで気になるな」とか、「これは何に使おう?」と考える時間そのものを楽しんでもらえるようなものを集めたお店にしようと思ってます。ARTって生活には必要じゃないかもしれないけど、心が豊かになると思うんです。そんな心がワクワクするような、「イイ」ものを集めた空間を作りたいですね。
後は、普段なかなか観ることがない『アウトサイダーアート』や『プリミティヴアート』など心身、精神にハンデがある方や子どもが描いた絵や民族芸術なども展示したり、新しく作る『ii(イイ)』が、そういう作品の発表出来る場になっていけたら良いなと思ってます。
まだまだ見通しが立たない世の中ですが、これからも『SOME/care』らしく、楽しみながら、新しい取り組みにもどんどんチャレンジしていけたら良いなと思ってます。
新型コロナウィルス感染症対策について
『アルコール消毒』『三密の回避』『検温』『マスクの着用』など
感染症対策を徹底した上で取材・撮影を行なっております。
また、撮影対象者のみマスクを外して撮影しておりますが
充分な距離を保った上で撮影させて頂いております。