[ 005  DALAT MARIMURA KOZUKI TAO ]

異国の香りを感じながらも、どこか懐かしさも感じる『ベトナム料理』

今回は、本格ベトナム家庭料理店『DALAT MARIMURA』の店主で料理教室も開催している、高月タオさんにインタビュー

タオさんの生まれ故郷「ベトナム」で過ごした子供時代のお話や、初めて日本に来た時のお話、『DALAT MARIMURA』をOPENする時のエピソードなど、現在に至るまでのお話をたっぷりとお伺いしました。

一度会ったら虜になってしまうチャーミングなタオさんの笑顔と共に、是非お楽しみください!

ー今回はお時間作って頂きありがとうございます。では早速、タオさんの子供時代のお話からお聞かせください。

1989年生まれベトナムのダラット出身です。生まれ育った場所はダラット郊外の自然豊かな避暑地で、優しい父と明るくて料理上手の母、2歳違いの姉と弟の5人家族で賑やかに暮らしていました。

子供の頃からおしゃべり好きな明るい性格で、細かい事は気にせず、なんでも前向きに気持ちを向けていくタイプでした。

学校に通う為、12歳頃から姉と親戚のいるダラット都心部で親元を離れて暮らすようになり、家事や食事の支度を自分達でしながら、日々勉強に励んでいました。

週末になると母が沢山の手料理を持って会いに来てくれて。

美味しい母の手料理と共に、太陽のような母の笑顔に会える事がすごく嬉しかったです。

『大切な人の喜ぶ顔を思い浮かべながらお料理を作り、美味しいものを一緒に食べると心が温かくなる』

そういう母の想いをいつも感じていて、家族で一緒に食べる食事の大切さを日々の中で教えてもらっていました。

お休みの日には『ダラットマーケット』と呼ばれる市場に遊びに行っていました。

毎日多くの露店で賑わっていて、ドラゴンフルーツやパパイヤにマンゴーなど、フレッシュな果物を売っていたり、衣料品や雑貨なども並んでいるベトナムの中でもすごく大きなマーケットなんです。

夜になると美味しいベトナムのローカルフードの露店も増えて、ここでショッピングを楽しみながら食べ歩きをするのがすごく好きでしたね。

ー学校を卒業された後はどうされたんですか?

ベトナムの学校を卒業した後は実習生として日本で働く事になり、姉と共に来日しました。

最初の1ヶ月は日本での生活を過ごす為の講習などを受けて、その後実習生として企業で3年間勤めていました。

講習を受けていた約1ヶ月の期間は日本語を学ぶ教室で日常生活に必要な日本語を学んだり、電車の乗り方やお買い物の仕方をサポーターの方に教えてもらってました。

サポーターの方は事務的な距離感ではなく、分からない事があったり困ったことがあった時にはいつも親身に相談にのってくれて、

「お休みの日にどこか行きたい所はない?」と声を掛けてくれたり、『お餅つき大会』に姉と一緒に連れて行ってもらいみんなでお餅をついたりと、日常生活以外の部分でも日本での生活が楽しくなるようなサポートもさりげなくしてくれて。

そんな風にいつも優しく寄り添いながら心強いサポートをしてくれていたので不安を感じる事もなく、沢山の人の優しさに触れながら日本での日々を過ごしていました。

実はこの時サポートして下さった方が夫の母で、この巡り合いがきっかけで夫と出会ったんです。

3年の実習期間が終わりベトナムに帰国していた時は日本とベトナムで離れる事になりましたが、それから1年半後、結婚する事に。

ふたりで話し合い、私が日本語を話せる事や夫の仕事の事を考えて生活の拠点を日本にすることに決めました。

子供も授かり新しい家族も増え、子育てに奮闘しながらも充実した日々を過ごしていました。

だったら、私がお店をやろうかな」

夫の祖母が長年喫茶店を営んでいたんですが、祖母が転んで骨折してしまい、ひとりで切り盛りしていた喫茶店を開けることが出来なくなってしまったんです。

そのままお店を閉めてしまう事もできたと思うんですが、おばあちゃんが大切にしてきたお店がなくなってしまう事がさみしく感じて。

自然と「この場所でベトナム料理のお店をやりたいなぁ」っていう気持ちがわいてきたんです。

それで「だったら、私がお店をやろうかな」と家族に相談してみたら家族もこころよく賛成してくれて、お店を始める事になりました。

きれいに手入れはされていたものの、老朽化していた部分や使い勝手が良くない部分もあり、夫とふたりでDIYをしながらオープンに向けて準備をしていました。

壁紙を貼り替えたり、手作りのカウンターテーブルを作ったり、お店作りの時間もワクワクしてとても楽しかったのを覚えています。

そして、2018年7月8日、家族に応援してもらいながら『DALAT MARIMURA』がオープンしました。

店名は、自分の故郷ダラットと祖母が長く営んでいたお店の名前の摩里邑(マリムラ)を合わせて『DALAT MARIMURA』に決めました。

日本とベトナム、ふたつの国を結んだ名前には、私のふたつの故郷への想いを込めました。

『故郷、ダラットの味をそのままに』

本格的な現地の味をそのまま楽しんでもらいたくて、日本人好みに味付けを変える事はしませんでした。私が子供の頃からずっと食べていた母から受け継いだ味をお店ではお出ししています。

OPEN当初はランチのみでしたが、2ヶ月過ぎた頃からモーニングやディナータイムでの営業もスタート。

モーニングではバインミーを、ディナータイムではランチの時にはない特別なメニューも登場するので、よりディープなベトナム料理のラインナップになっています。

ー『DALAT MARIMURA』といえば、今や大人気のお料理教室ですが始めるきっかけはどんな事だったんですか?

何度もリピートして来店して下さるお客様も増え、お料理を気に入って下さったお客様から「ベトナムのお料理を教えて欲しい」というお声を頂いたんです。

私が大好きなベトナムの味を気に入ってくださった事だけでも嬉しかったのに、家でも作って食べたいと言ってもらえた事がすごく嬉しくて。

とても嬉しいお声掛けだったので実現できるようにと、お料理教室の限られた時間の中でメインと副菜、デザートなどバランスや季節感も考えながらメニューを考えたりと、自分なりに出来る限りの準備をしました。

その中でも、やっぱり大変だったのは日本語で。

いざ始めてみると細かな調理方法のニュアンスを日本語で伝える事がすごく難しくて。

最初は伝えたい事を上手く伝えられる日本語が分からず、お料理教室を始めた頃はいつもその事が自分の中で課題になっていました。

そんな時に、いつも来て下さるお客様が相談に乗ってくれて。

「それだったら、こういう風に伝えるといいよ」とアドバイスをしてくれたり、料理教室の生徒さんも私が伝えたい言葉を探していると、ピッタリの言葉を当てはめてくれたんです。

皆さんのお陰で「こう伝えれば良いんだ」っていう経験をたくさん積み重ねながら、今のお料理教室のスタイルが出来ました。

日本での生活が始まった頃は知り合いも少なかったんですが、お店を始めてからはお客様として出会ったお友達もたくさん増えて。

お店に遊びに来てくれたり、お休みの日に一緒にお出かけしたりと日本での生活もより楽しくなりました。

ーコロナ禍での変化はありましたか?

コロナが始まってからしばらくは、お客様の安全第一を考えテイクアウトのみの営業にしていました。

お客様がお料理を食べる姿を見れないのは少し寂しかったですが、テイクアウトして下さったお客様から「美味しかったよ!」と言ってもらえたり『DALAT MARIMURA』のお料理を「楽しみにしていたよー」と言ってもらえた事がすごく励みになりました。

ー2021年2月に場所を移しリニューアルオープンされましたが、何か理由があったんですか?

祖母から受け継いだお店にすごく愛着があったのですが、建物自体の老朽化が深刻になり移転する事を決めました。

移転先を探していたら、いつも立ち寄っていたご近所のCAFEが閉店する事になって、そのお店の店主に「まだ次に入る人が決まってないみたいなんだけど、ここに移転するのはどう?」とお声掛け頂いたんです。

前の店舗からも近くて店内スペースも求めていた広さがあり、ここでお店をするイメージが自然と浮かんだのでここにすぐに決めました。

元々のCAFEの内装も好みだった事もあり内装はあまり変えず、足りないテーブルや椅子などを買い足したり、ベトナムの母が送ってくれた雑貨などをディスプレイして雰囲気を変えてリニューアルオープンする事に。

突然の移転報告だったにもかかわらず、たくさんのお客様がかけつけて下さり「リニューアルのお祝いに」と大好きなお花やプレゼントを頂いたんです。

こんな風にかけつけてもらい、お客様に大切にして頂いてる事がすごく嬉しくて!

皆さんに愛されるお店であり続けようと温かい想いでいっぱいになりました。

その時に頂いたお花は感謝の気持ちも込めドライフラワーにして、今も大切にお店に飾っています。

ー異国情緒のある素敵な器などは、どこで探されているんですか?

器はベトナム製のものを使っています。

ベトナムに帰った時に購入したりしていたのですが、今はコロナ禍で行けないのでベトナムの母にお願いして送ってもらったりしています。

でも全てをベトナムのものにせず、日本で見つけて良いなって思ったものもMIXしながらお料理に合わせて使っています。

調理器具などは基本的に日本で選んで購入したものですが、蒸し春巻きを作る時に使う特殊な形の蒸し器など、ベトナムにしかない調理器具なども現地から持ってきて活用してます。

お店の中にも調味料や調理器具マーケットスペースを設けているのですが、ベトナムから直接仕入れている調理器具はどれも人気商品で、お料理教室の時には一気に売れてしまい在庫がなくなってしまう事もあるほど。

コロナ禍で、なかなか気軽に海外に遊びに行けない時ので、小さなスペースですが旅行気分を味わってもらえたら嬉しいです。

ー今後の新しい展開や、挑戦してみたい事などはありますか?

すぐにはご準備出来ないのですが、温かいフォーやバインミーをキッチンカーで移動販売したいなと思ってます。

いろんな所に行きながら、お客様に『DALAT MARIMURA』のベトナム料理を楽しんでもらえたら嬉しいですね。

まずはイベント出店にチャレンジしてみようと思っているので、ぜひ楽しみにしていて下さい!

DALAT MARIMURA instagram

愛知県名古屋市瑞穂区下坂町4丁目15 スターリア1C

090-3250-2091

営業時間や定休日などは上記instagramのご参照をお願い致します。

新型コロナウィルス感染症対策について

『アルコール消毒』『三密の回避』『検温』『マスクの着用』など

感染症対策を徹底した上で取材・撮影を行なっております。

また、撮影対象者のみマスクを外して撮影しておりますが

充分な距離を保った上で撮影させて頂いております。