[ 011 Théâtre  TAKAGI KAE ]

空間デザイナーであり、「衣食住」の全てが楽しめる『ニューモアビル』のオーナー、そして個性的で発信力のある数々のイベントを成功させている『Théâtre』 髙木佳恵さん。

今回はその『Théâtre』 髙木佳恵さんにインタビュー。

心豊かなご家族に囲まれ、のびのびと過ごされた子供時代。いつも自分のVISIONを明確に持ち、どんな試練もポジティブに受け入れて新たなパワーへと変換している髙木佳恵さん。そんなバイタリティーに溢れる髙木佳恵さんの世界観を是非お楽しみください!

1980年、岐阜県中津川市で生まれ畜産業と農業をしている父と母の元に生まれ、2歳上の姉と3歳下の妹と一緒に育ちました。

家業は自然や動物を相手にしている仕事。父も母も休みなく朝から晩までいつも働いていて、休日もほとんどないのが当たり前でした。家族みんなで旅行に行ったりゆっくり一緒に長く過ごす事はあまりなかったのですが両親の一生懸命働く背中を近くで見て育ったので、自然と三姉妹それぞれの好きなことや得意なことを活かしながら家業を手伝ったり家事を担っていました。

私は料理が好きだったので食事担当を任せてもらっていたのですが、自分が作った料理を「美味しい!」と言って食べてもらえることがすごく嬉しくて。家族に喜んでもらえることで「もっと美味しいものを作ろう!」と頑張るエネルギーにしていました。そういう環境で育ったおかげで生活力が自然と身に付き「どうしたら喜んでもらえるのかな?」と考えるようにもなりました。

「子供達は子供達で自由にのびのびと何でもやりなさい」と、火を使う料理や少し危険が伴うことも父や母は好奇心を尊重し信頼して任せてくれていました。

もちろん失敗も沢山経験したんですが、そういう場面での対応や困った時に助け合う事も姉妹で一緒に経験出来たからこそ絆もどんどん強くなっていったんだと思います。姉妹それぞれの性格や個性を尊重しいつも見守りながら育ててくれた両親には感謝しかありません。

珍しいかもしれないのですが、両親揃って「勉強をしなさい」とか「いい大学に行っていい会社に就職しなさい」みたいなことを私達に言うことはなくて。

でも、やるべきことはちゃんとやらなきゃいけないっていうことや物事の優先順位の立て方など、今思えば学校の勉強よりも大切なことを生活を通して教えてくれていたんだと思います。日々、命と向き合う仕事だからこそ本質的なことだけを伝えてくれて、私達が元気で健やかに笑ってることをいつも喜んでくれてました。

『何もかも手に入ることが幸せじゃなくて、一度手を離すことで見つかる幸せもある』

両親から受けた影響はすごく大きいですね。

母はすごくパワフルで前向き。毎日牛のお世話をしながら子育てもしていたのに文句や愚痴を聞いたことがなかったんです。気持ちの切替がスマートな母は思い通りにならない事があってもくよくよせず、いつも笑っていて。『あきらめる』っていう言葉を使うとネガティブな響き方をしてしまうかもしれないのですが、母の口から出る『あきらめること』は真逆の印象で。

「何もかも手に入ることが幸せじゃなくて、一度手を離すことで見つかる幸せもある」っていう事や、それに気付ける心を磨く事の大切さを教えてもらっていました。

母からは今ある幸せを大切にすること。当たり前のようで難しいことなのですが、とても大切なことを教わりました。働く女性としてもすごく尊敬していて自分が歳を重ねるたびにそんな母の偉大さも強く感じています。

父は絵を描くのが好きで今も油絵を描いています。

家には日本画や西洋画の画集がたくさんあり、子供の時からその本を見るのがすごく好きでした。画集のページを開くたびに刺激を受け「色彩」「構図」「バランス感」など自分の心地よいものを感じ取っていました。

画集以外にも小説を読むのがすごく好きで。特にファンタジー小説が好きだったんですが、登場人物や背景など物語の世界へ何にも無いところから言葉だけでいろんな想像を掻き立ててくれる活字の世界はいつも自由で変幻自在。彩豊かなその世界に想いを馳せながら想像をする事がとても楽しくて。その頃から読書は自分の中で特別な世界を見せてくれるものでした。

『便利なことだけじゃない、風情や心地よさがある。』日本人の美的感覚の素晴らしさや暗闇と影の美学、そして闇の中にある美しさ。

たくさんの本を読む中で、谷崎潤一郎さんの『陰翳礼讃』に出会いました。

今の時代のように電気がどの家庭にも当たり前に届いていなかった頃、月明かりで過ごしていた日本人ならではの風情や侘び寂びが書かれているのですが、この本から受けた影響は大きくて。

『便利なことだけじゃない、風情や心地よさがある。』日本人の美的感覚の素晴らしさや暗闇と影の美学、そして闇の中にある美しさ。

月明かりの中で本を読むなんて、なかなか今は無いでしょ?でも日本人はそこに重きを置いて生活してきた事がとても美しく書かれている。美意識の原点を再確認させてくれるような一冊で今も繰り返し読んでいます。

中学生の時に船旅でグアムとサイパン、高校の修学旅行が海外へホームステイだったのでその時にニュージーランドへと海外での生活も短い期間ながら経験させてもらいました。

実際にその国の空気感を体験し自分の目で見て触れたことは、本や映像で感じるものとはまるで違って。世界がつながっていてそれぞれの国が持つ風土や根付いている文化の違いを味わいながら、自分の住む日本についても考えるきっかけになりました。

その頃夢中だったファッションも海外の影響を受けていて。当時はヴィヴィアンウェストウッドやギャルソンなどが好きで、ファッションを通じてルーツになっている音楽、映画、その時代のカルチャーなど、ファッションをファッションだけで見ることはせず、背景や繋がりを自分なりに調べたりしながら知識を広げていました。

いろんな世界を知る事で刺激を受け「自分に何がフィットするのか?」「自分らしさってなんだろう?」と、トライアンドエラーを繰り返しながら感覚を磨いていた時間でしたね。

ーその先の進路はどのように選ばれましたか?

大学はファッションの基礎が学べる短大へ進学しました。

デザインやパターンなど、いろんなカテゴリーを学んだのですが、作り手側として長けている友人の姿を見て「あんなふうには私はできないな」と感じて。その時にふと立ち止まって自分はファッションを通じてどんな事を伝えたいんだろう?と考えたんです。

新しく作る作り手側ではなく、良さを伝えて可能性を広げられる『販売員』として自分の力を出せていけたらいいなと思ったんです。それからは販売や接客の勉強に力を入れながら、就職活動に励んでいました。

就職活動中の合同就職説明会である企業の方が『接客業』の素晴らしさを笑顔でずっと話してくださって、なぜだかわからないんですがその話に聞き入ってしまって。最後には涙を流しながら熱く伝えてくださったその方に感動してしまったんです。「この人の下で働きたい!」という気持ちが走り出し、その企業に就職。その方の熱量と気持ちに心打たれて入社したのですが、思い込んだら突っ走ってしまうところがあって、会社やブランドについては調べたりしなかったんです(笑)当時個性的なファッションに身を包み、金髪のショートヘアだったのですが、いざ店頭に立ったら上品でコンサバなお洋服が並んでいるお店で(笑)でも、その上司の下で働けることが嬉しくて、販売員として一番大切な事をたくさん教えていただきながら、その方のDNAを受け継ぐべく一生懸命務めていました。

その頃、仕事とは別で自分らしいファッション表現の場も持ちたくて、友人と一緒にブランドを立ち上げファッションショーを開催したり、いち販売員としてだけではなくファッションへの想いをいろんなカタチにしながらアイデンティティの表現の仕方を広げていましたね。

入社し3年が経った頃、入社のきっかけとなった上司の異動をきっかけに退社することに。

寂しい気持ちもありましたが、教えていただいたことを胸に新しい一歩を踏み出すことを決断。

元々料理が好きだったこともあり、友人の紹介でレストランのオープニングスタッフとして次の仕事につきました。人と接することが好きだったので飲食店での接客業も自分らしく楽しみながら過ごしていました。ささやかなことの積み重ねなのですが「あの方はお箸で召し上がる」「あの方はこのタイミングで飲み物を召し上がる」など、おひとりおひとりの好みを覚えて、喜んでいただける顔を思い浮かべながら働いていました。

そんなある日、レストランによくきて頂いていた方から「会社を立ち上げるので手伝って欲しい」とレストランで働く姿を評価して頂き声をかけてもらえたんです。

業務内容は事務とのことだったんですが、事務職はした事がなく経験もなかったのですが、せっかく声をかけて頂いたのでお手伝いさせてもらう事に。

会社は不動産業と建築業を営む業種だったのですが、専門的な知識もなく最初はコピー機の扱い方ですら手間取っていました。

それでも、ひとつひとつの仕事を丁寧に教えて下さったお陰で新しい仕事にも少しずつ慣れていき、立ち上げた頃は社長と私の2人だったのですが事業も順調に発展しスタッフも年々増え『リノベーション業務』にも力を入れることになりました。

建築士の方や専門的なスタッフも増えた頃、あるスタッフから「一度リノベーションの仕事をやってみない?きっと向いていると思うよ」と声を掛けてもらえて。

その時、壁紙に貼るクロスを選ばせて頂いたんですが、選んだクロスが貼られた部屋を実際に目にした時、すごく感動して!「こういう仕事をやってみたい!」ってその時にスイッチが入ったんです。

気持ちが固まってからは資格を取るための勉強を始めて「インテリアコーディネーター」と「建築士」の資格を取得すべく猛勉強をスタート。

当時は仕事と勉強を両立しながら学校に通い、寝る時間を削って必死に勉強していました。

学校ではほとんどの方が建築学科を出ていて、専門用語がわからない私はスタートラインから遅れをとっているような感じでした。わからない事だらけのマイナスからのスタートでしたが学校で出会った先生方が丁寧に時間をかけて指導してくださったお陰で挫けずに勉強を進める事が出来ました。

その頃の生活は早朝から勉強して出勤後にまた勉強。少し仮眠をとって、また早朝から勉強をする。休日は学校と勉強に没頭する生活。

睡眠時間すらほとんど無い中走り続け、ずっと力になってくれたパートナーの支えもあり、一年では取得が難しいと言われた建築士の資格を無事取得!側で支えてくれた家族や友人、そしてパートナーが自分以上に喜んでくれた事もすごく嬉しかったです。

資格を取得できた事で携われる業務の幅も広がり、それまでとは違う充実感を感じるようになりました。

「やってみないとわからない」と飛び込む行動力はとても大切

この時は年齢的にも節目の30歳手前で、いろんなことに先回りして行動よりも頭で考えがちだったりするのですが、「この歳から始めても無駄だし、大学出てる子には敵わない」とか思わず全力で突き進めたことが本当に良かったなと今も思っていて。

視野を広く持ち慎重に悩むことは大切だとは思うんです。でも、やってみる前から諦めていたかもしれない事を思うと何も考えず好奇心に忠実に「やってみないとわからない」と飛び込む行動力はとても大切だなと感じた瞬間でした。

何も考えずにとりあえず飛び込んで経験をさせてもらうっていうことの方が大切だと思うし、ある意味思い込んだら突っ走る性格だったお陰でいろんなことや経験を手に入れる事ができたんだと思っていて。可能性を見込んで「やれるかもしれないから」と声をかけてきっかけを与えてくださった方々には本当に感謝しかないですね。

ー独立はいつ頃から視野にありましたか?

入社し10年が過ぎた頃、会社の事業方針が変わりその頃から独立したい気持ちが芽生え始めました。コピーを取ることさえ手間取っていたところから始まり、事務、人事、リノベーション業務といろんな経験をさせてもらい幅広くチャレンジさせてもらえたことはなかなか経験できることではないと思うんです。そこで経験したことを活かし自分の可能性を試したいという気持ちが固まり入社12年目で独立を決めました。

不動産のことも勉強させてもらえた事で、より多くの視点で思考できるようになり今の仕事をする上でも大きな財産になってます。

『人を想って、人のために』きっと幸せってそこにあると思うし、ものつくりをする上でも大切な軸がそこにある

数年前から姉が実家の家業を継いでくれたんです。父も母もとても喜んでいて、私もそんな姉が誇らしく思っていました。

でも、ある日「畜産業や農業って作業着を着ていてその作業着もすぐに汚れて、私の仕事は汚くてかっこ悪いから恥ずかしいなぁ」「あんまり農業をやってることを人に言いたくないの」と姉が言って。確かに作業着はいつも汚れてしまう仕事だと思うんです。でも服が汚れるくらい夢中になって働いている姿をずっとカッコいいと思っていたし、そんな風に姉が思っていたことに気が付けなかった事にも歯痒くて切ない気持ちになって。

「こんなにも毎日頑張っている姉の為に何か力になれることはないかな?」「農業や畜産業がかっこいいことをどうしたら伝える事ができるんだろう?」と私なりに考えて、その時に思い付いたのが『カチファアム』でした。

家族が心を込めて作った農作物を商品化し、デザイン性の高いパッケージで包み、イベント出店する際のテントや什器・装飾などにもこだわり抜いて、その全てをブランディングする。

そしてイベント出店の際には、その華やかな店頭に姉が立ちお客様と接してもらう。

人前に立つ事でファッションへのモチベーションも高まり、姉の笑顔がみるみる膨らんでいくのを感じました。

姉の明るい表情が見れた時、本当に嬉しくて!

私が『カチファアム』をやろうと思ったのは、姉のこの笑顔がただ見たかったからでした。それだけの理由ですが私にとってはすごく嬉しいことで、キラキラと幸福感溢れる姉の笑顔に感動しファッションやデザインが持つ魔法の力を強く感じました。

オシャレかオシャレじゃないかって、ブランディングとして入り口が全然違うと思うんです。

纏う空気感も購買意欲もその後の満足感も、全てに繋がっていく。

最初にファッション性を高めた方が後でいろんな方向に繋げられるし幅の広がり方にも違いがある。そういうファッションやデザインが持つ力が人を笑顔に出来る事を真近で見る事が出来、自分自身のモチベーションもさらに高まりました。

『自分が動いたことによって喜んでくれる人がいる』私なりのやり方でプラスになる事があれば、出来る事はなんでもやりたいと改めて思うようになりましたね。

『人を思って人のために』きっと幸せってそこにあると思うし、ものつくりをする上でも大切な軸がそこにあると思っています。

ーひとつのイベントを成功に導くために様々な業種の方と接する機会が多いと思うのですが、大切にしている事やルールはありますか?

どんな場面でも言えることなのですが、より良い方向へと向かう時には対話が大切です。

それぞれの立場でしか見えない問題点に気づいてもらえたり、そこをクリアにしないと先に進めないことが必ず出てきます。

自分1人では解決どころか、そもそもの問題に気がつくことも出来なかったと思うので、まずは気付いて下さった方の話をしっかり聞きどうすれば最終的に一番良いところに着地できるのか?その問題の背景には何があるのか?と一緒に悩んでいただいたり、解決の糸口になるようなアイデアをご提案頂けたりと沢山の人と話すことで解決できる事も多いんです。

それぞれの立場があって、その目線で見た時にしか気付けない事や立場的に伝えなくちゃいけない事も沢山ある。

そういう対話の積み重ねや相手の立場に寄り添って考えてこそ信頼が生まれると思っていて。

いつも思う事なのですが、問題がおこることが悪いことではないんです。共通する思いやゴールは結局一緒でみんなで笑顔で成功したいという事だと思うんです。その為にも解決するための近道として対話することをなによりも大切にしています。

イベントはそもそも人を集めたり、何かをPRする目的がある。

集客するには人の好奇心に触れるものがないと成功へは導けないので、そのイベント自体の核となるヴィジョンをイベントを一緒に作り上げるチームで共有できているかどうか?同じヴィジョンが見えていない人にどうやって伝えるかがすごく大事になってきます。

やった事がないことをやる時にそこが共有できていれば必然と当日までにやるべきことがクリアになっていく。

回を増すごとにマンパワーも増えていき、規模がどんどん変わっていってもヴィジョン共有がちゃんと出来ているとチーム力が大きく違います。

後は何よりも結果を出す事。

結果が出てない時は誰も助けてくれない。簡単ではないけれど『結果を出す』ってことが一番大切なんだっていうことも失敗や反省を重ねながら感じている部分です。

結果をちゃんと出すための緻密な計算はちゃんとしているつもりでも、前日は「誰も来なかったらどうしよう?」って最悪の事態を考えることもあります(笑)

そういう緊張感も大切にしながらイベントが成功するように毎回全力で励んでいます。

最近は学生の方がボランティアで参加してくれる事も増えて、興味を持って参加してくれることも若い人たちと関わり新しい感性に触れられることも嬉しく感じています。

バトンを受け取る側から渡す側へ

自分自身がそうだったんですがイベント業が仕事になるなんて思ってなかったんです。

なんでもそうなんですが人から「やってみない?」って声をかけてもらえてやっていくうちに仕事になっていった。

私に今まで声をかけてくださった方もそうだったと思うんですが「きっとこの人はこれができる」ってご本人よりも周りにいる人の方が冷静に見ていると思うんです。私自身もそんな風に感じた時にお願いすることもあって。

『ポジティブな無茶振りをされる』と言われる事もあるんですが(笑)でもポテンシャルとしてやれない人にはそもそもお願いもお声掛けもしない。

自分が世界を広げてもらったように、次の世代にきっかけやチャンスを恩送りのように繋げていけたらいいなと思っていますし、バトンを受け取る側から渡す側にフェーズが変わってきていることも感じていて、次の世代にそうやってバトンを繋いでいけたらいいなと思っています。

『プレオープンズ』誕生!

Théâtre』として2017年5月1日に独立後、最初に手掛けたご依頼はビル一棟をフルリノベーションしプロデュースする仕事でした。ですが止むを得ない事情により予定していたOPEN一週間前に手仕舞いすることになったんです。

その物件のプレオープン期間に『プレオープンズ』という名前で素敵な方々とチームを組んでいたので、何だかそれまでみんなで力を合わせてOPENというゴールに向かって走っていたのに完走出来ない事が悔しくて。これだけのメンバーが集まったのに勿体無いという気持ちとやり遂げれない悔しい気持ちは一緒に準備に励んでくれたチームの仲間達も同じでした。

予定していた日程まで一週間しかないけれど、なんとかこのメンバーで準備してきたことをカタチにできないだろうかと考え、急遽開催出来る場所を探し、借りられる場所の清掃や内装準備を急ピッチで進めました。

予定していたOPENに向け全力で走っていた仲間達も、頑張れるスタミナなんてどこにも残っていないはずなのに、みんなの底力が合わさったお陰で会場こそ変わったもののイベントは大盛況!

その後も集まったこの素敵なメンバーで活動していこう!という事になり、あたたかい食事を提供する風変わりな集団『プレオープンズ』として今も活動を続けています。

独立一件目の仕事で大きな挫折だったのですが、自分自身これからひとりで立って歩いていくための必要な試練でしたし、大切な仲間と出会う事ができたので結果として得るものがとても大きい経験になりました。

衣食住を表現する場所『ニューモアビル』

独立後、自身の事務所と夫のセレクトショップを設けようと思っていたんです。ですが、自分達の理想のカタチを求めた時に予定していた物件では難しいことに気付き、新たに物件を探すことに。

辿り着いたのは、3階建てのビルで一階でご商売をされていた物件でした。

初めてみた時からイメージしていたヴィジョンがはっきり浮かぶ程、理想通りの物件だったのですが条件が合わず一旦諦めることに。

他の物件もみていたのですが中々ここだ!っていう物件に巡り合えずにいた時、諦めた物件の大家さんからご連絡を頂き条件などの交渉を快諾していただけ、この物件に決めることになりました。

仕事柄、不動産は出会いで奇跡的な事が起こった時に始まるものなんだなっていうことを感じていたのですが、改めてその奇跡に気付かされました。

この建物で表現したかったのは『衣食住』が集まり、人々が集う空間。

2階は夫のセレクトショップ『POETRY』と私の『Théâtre』事務所、そして1階にはギャラリー『SPACE PALETTE

そして友人が手掛ける大好きなカフェにも『Paelor IMOM』として入店して頂けることになりました。

嬉しいことに『Paelor IMOM』の内装デザインやロゴデザインも『Théâtre』で携わらせて頂き、オリジナルブレンドのコーヒーもご用意して下さいました。

私の大好物となった「自家製ローストビーフサンド」もすぐに食べにいける距離にあることに幸せを感じていますし、何よりも『Paelor IMOM』のスタッフが素敵な方ばかりなので、一緒にイベントを開催したりと今やチームのような存在になれたことをとても嬉しく思っています。

そして独立直後に挫折したあの経験があったからこそ今の自分があり先に進むことが出来た。そういう感謝の気持ちを込め、もう一度やり直す決意を表し『ニューモアビル』という名前にしました。

物件が決まってから慌ただしく準備を進めた『ニューモアビル』は2020年10月2日に無事グランドオープン。

グランドオープンのパーティの際には沢山の方に足を運んで頂き、皆様のお陰で華やかにスタートする事が出来ました。

地域の方にもご愛顧頂き、もうすぐ『ニューモアビル』も2周年を迎えます。

こんな風に街の景色に溶け込めたことや、家族のような仲間達と日々楽しく過ごせている事、そして訪れてくださる方達をもっと笑顔に出来るよう、全ての事に感謝の気持ちを込めてこれからも全力で頑張っていきたいです。

『良いこと』も『そうじゃないこと』も沢山の積み重ねた経験が自分自身をタフに育ててくれた。

いろんなことを乗り越えて年を重ねたメリットはやっぱり経験と出会いなんだと感じてます。

良いこともそうじゃないことも沢山の積み重ねた経験が自分自身をタフに育ててくれた。

今よりも年齢を重ねれば体力的には細くなっていくかもしれないけど、まだまだやりたいことだらけ。

もう少しコロナが落ち着いたら海外に行き自分の目で見ていろんなことを感じたいですし、何よりも仕事が大好きなので生涯現役でいられるよう柔軟性のあるフレキシブルな思考を持ち、生き方としても広くバランスよく自分のやれることをマルチに続けていきたいです。

『当たり前が、当たり前じゃない』ここ数年はそういうことを強く感じる時間がとても増えて、その中で私自身も会いたい人に会えること、お仕事を続けられること、美味しい食事をいただけること、大切な人が健やかに過ごしてくれることへの感謝の気持ちがより高まりました。

自分だけが幸せになる事が幸せじゃなく周りの人も笑顔になって幸せが繋がっていく事が本当の幸せだという気持ちもより強くなりましたね。

身体を大切にし、心を豊かにしてくれて、気持ちを整えてくれる。それぞれの日常という劇場を彩る、生活そのものでもある『衣食住』の大切さ。

その感覚をこれからも忘れず、これからも私らしくいクリエイトしていきたいです。

Théâtre

Instagram

愛知県名古屋市南区豊2丁目26−16

SPECIAL THANKS

POETRY  Instagram

カチファアム  Instagram

プレオープンズ Instagram

Parlor IMOM Instagram

新型コロナウィルス感染症対策について

『アルコール消毒』『三密の回避』『検温』『マスクの着用』など

感染症対策を徹底した上で取材・撮影を行なっております。