Bike shop 『Circles』の一角でアメリカンダイナースタイルの朝食屋さんを営む『EARLYBIRDS -BREAK FAST-』
今回は店主である大平恵太さんにインタビュー
vol.2 では盟友KAKUOZAN RAEDER丹羽さんとの出会いと『SNEAKS』誕生のお話『EARLY BIRDS-BREAKFARST-』 が始まってからの10年とこれからの10年への想いなど、たくさんのお話をお聞かせ下さいました。
EARLY BIRDS-BREAKFARST- 大平恵太さんの ROOTS OF STORY を是非お楽しみください!
ーお店を始める時に準備されたことや、こういう準備や経験をしておけば良かったなって思うことありますか?
EARLY BIRDSをやる話が出た時、社長からも「もうちょっと修行とかしてみたら?」っていう話はあったんです。
その時27歳だったんですけど、経験不足や引き出しの少なさみたいなのは自分の中でも感じてて。例えばイタリアンや和食で基礎や深いところを学ぶ選択をするっていうことも考えたんです。
でもそっちを取って例えば3年間修行として頑張ったら30歳になっちゃうなとかも考えていて。楽な方を選んだつもりはなくて27歳っていう微妙な年齢も考えて「早く始めた方がいいな」って思って決めました。
自分的にはどっちを選んでても後悔はなかったと思うんですけど、やっぱりタイミングって大事で。
この場所でこういうことが出来るチャンスって何度もないと思ったし「今なんじゃないか」っていう感覚を大事にしたかったから、今もあの時の決断は間違ってなかったなって思ってます。
ある時ふと出会った陶芸家の人と話していた時に「なんでこうやって作れるんですか?」って話しかけたんです。
その時に「ひとつのものを一生懸命頑張って作っていたら、これがどういう土で出来ててどういう釉薬がかかっててどんな手順で作られたかが分かってくるんだよね」っていう話をしてくれて。
作り続けるとそういうのが見えてくるし「全部を分解してさらに広げることができる」っていう話がめっちゃくちゃ響いて。
もしかしたら食べものひとつでも感動して自分が取り入れたいと思ったら材料や調味料を想像して分解して、自分がやれる範囲とやれない範囲のバランスを取りながら、それを混ぜて出来上がると自分のオリジナルになるんじゃないかって思って。
オリジナルって自分にとって納得が出来てるから揺るぎないものとして存在するし、唯一無二な存在に大きな価値が生まれると思うんです。
ひとつのロジック的な話にはなるんですけど、それを聞いてから一回分解する頭を持つようになって、そのお陰で視界が広がってコンプレックスとまではいかないけど自分の経験値のこともそんなに気にならなくなりました。
勉強しようと思えばいつでもできるから、行動するかしないかの一歩はめちゃくちゃ大きいって思っていて。実際に経験しないと学べない事ってやっぱりあるし、そういう所を大事にしていきたいなって思ってます。
ー 重なり合うたくさんの輪、彼らとのひとつひとつの出会いが原動力に繋がっていく
最近やってないですけど『HEDGHOGDINER』っていう名前でPOPUP的なことをオープン当初からやっていて。
今でこそ間借りとかPOPUPってスタンダードになってきたんですけど、東京から『かかん麻婆』さんや『東京台湾』さん、近いところだと『SUNDAYSPAICE』さんや『garage coffee company』さん、他にも出会えた沢山の方々とワークシェアをさせて頂いていて。
当時は人のキッチンに誰かを入れるってすごくハードル高かったんですよ。でも自分のお店でやるならそういうハードル的なものを外せる。
単純にコラボする楽しさもあるんですけど僕にとっては学びの多い時間で、それぞれのロジックやオペレーションだったり磨いてきた技をその距離感で見れるからこそ勉強になることも沢山あって、その環境を自分で作っていったのが「HEDGHOGDINER」でした。
ライブ感もあって自分が見たいところが明確にポイントで見れるし、実際来てくれた人達と現場で話して聞いてみるといろんな方向からの視点も増やす事が出来る。
出会えた人達のお陰で伸ばせる部分は沢山あるし、経験不足なことを自覚してる分成長したいっていう貪欲さもある。
そのコンプレックスもこうやって変換していけば『武器』に出来るんだなって気が付いたんです。
何よりもリスペクトしてる彼らとの出会いのひとつひとつが原動力に繋がっていくし同じフィールドで頑張っている仲間がいることは僕にとってかけがえのない財産だと思っています。
ースタッフの方との距離感や空気感で心掛けていることはありますか?
昔は理想が高かったというか「僕ができるんだから、あなたもできるよね」みたいなスタンスがあって、めっちゃ厳しく言ってたんですよ。
周りはまだそのムードを感じてるかもしれないんですけど(笑)ここ数年で意識的にそういうのやめるようにしてて。
「絶対だめだ」って時は言うんですけど、いろんなことを感じて行動に移せるようになるまでにはそれぞれ時間が必要で、常にベストを尽くすことは大切なんだけど、入ったばかりの子のベストとそうじゃない子のベストは違って当たり前なんですよね。
そういう考え方が出来るようになってからは急ぎすぎずに「一回様子見ようかな」って思えるようになっていきました。
自分自身もcafe時代にちゃんとやってるつもりでも「やれてない」っていわれた時、感情的に指導されたら頑張ろうって気持ちにはならなかったんですよね。
「こういう理由があってこうしてるんだよ」って説明があるのとないのってめちゃくちゃ違うし、そういういう事に自ら気付ければいろんな事の見方が変わってくる。
ルール的なことって最初からみんなが知ってるわけじゃないから言葉で伝えることももちろん大切なんですが「こうした方が良いな」って自ら気付ける心地良い空気感を作ったり、伝えなきゃいけない事がある時はお互い心地良くちゃんと向き合える関係性を作る事も僕の仕事の一部だと思うように変わっていきました。
ー 『かかし』さん『スパイスアワー』さんの間借り営業のきっかけはどんなことだったんでしょうか?
最初に間貸しを始めたのは元々スタッフの1人だった子が「夫婦で居酒屋をやりたくて、独立したい」っていう話を僕にしてくれたことがきっかけでした。
その時のスタッフがやっているのが『かかし』なんですけど「ふたりの中でやり方の違いが出てくる事もあるから、この場所でまず間貸しスタイルでやってみたら?」っていう会話から始まったんです。
間貸しをする中で頑張ってる姿を見て応援してくれるお客さんとも出会えるかも知れないし、実際にやってみないと分かんないところがあると思うんです。
まずこのコミュニティに応援してくれる人を作っていくのもひとつのやり方としていいんじゃないかって思ったんです。
間借り営業をやり始めた時には「いつお店を持っても良さそうないいリズムだな」って思ったんですけど、間借りをすることでストーリー性が生まれると思うし、多かれ少なかれファンも付く。
それをやった先にお店があればスタートから楽だと思うし、場数を踏めば踏むほど自分達のやり方やスタイルもクリアに見えてくるんじゃないかっていう思いもありました。
『かかし』が間借りを卒業した後に『スパイスアワー』が入ってくれているんですけど『スパイスアワー』のジョミ君は最初から「ここで勉強したいです」って言ってくれてEARY BIRDSのシフトに入りながら『スパイスアワー』もやっていて。
それぞれスタイルは違うんですけど彼らのように「なんかやりたい!」って目標を持ったスタッフが入ってきたのは今までと違うフェーズだなって感じていて。
自分の中でも大きな変化で、それまでは自分がお店をどうしていくかっていう事ばかり考えていたんです。
そういう熱量を持ったスタッフに出会えた事で次の世代にパスする順番がきたんだなっていうのを感じてます。
彼らのように目標があるといろんなことに敏感に反応できるし、同じステージで話せることも多くなる。
そういう何気ないことでも共感できると日々の仕事の意識も変わってくるし、素直に「勉強したくて」って言ってもらえる事も嬉しいんですよね。
なんか年取ってきたなみたいな気持ちにもなりつつ(笑)僕ができるカタチで出来る限り応援したいなって思ってます。
ー盟友・KAKUOZAN LARDER 丹羽さんとの運命的な出会い 『SNEAKS 』のはじまり
最初の出会いはまだEARLY BIRDSを始める前の場所で僕がケータリングとかをしてる時に友達の仲間として遊びに来てくれていたのが出会いでした。その時はまだお互いの友達が間にいて顔見知り程度だったんです。
それからしばらくしてEARLY BIRDSのオープン準備で保健所に申請をしにいった時、たまたま隣の席だったのが丹羽さんだったんです。
申請が終わった時にお互い挨拶をして、それぞれのお店のコンセプトの話になった時に丹羽さんが「アメリカンダイナーをイメージしたお店なんです」って言って「えっ!うちもアメリカンダイナーです。一緒のアメリカ系ですね」って話になったて、それからお店行くようになってちょっとずついろんな事話すようになっていったんです。
同じアメリカっていうワードもあって、ちょっとしたライバル感もあるじゃないですか?(笑)
それがまた良くて、刺激も受けたし同じフィールドで頑張る仲間が出来たことは大きかったです。
オープンしてしばらくした時にテレビ塔の下で自転車関連のイベントに出店する話があって「一緒のブースで出店しませんか?」っていう話になったんです。
お互いのメニューを出して準備してたんですけど「ただ料理出すだけじゃなくて、なんか面白い事やりたいね!」」って話をしてて『STOMACHACHE』さんにイラストお願いしてTシャツ作ったり『STORE IN FACTORY』さんの家具でテーブルとかもお願いして、その場所でライブやってもらったりして、そういうのがめちゃくちゃ楽しくて。
イベントが終わった後に「楽しかったし、めっちゃ面白かったね」って充実感が溢れ出てきて、その流れで「森道市場って出店したことある?一緒に出店しない?」っていう話になったんです。
それまでも出店のお誘いはあったんですけど、丹羽さんと一緒に出店したら絶対面白いことが生まれる気がしてコラボネームの『SNEAKS』で森道市場に出店することが決まったんです。
いざ出店したらお互い売上もちゃんと取れて成功したんですけど、シンプルなテントに看板を付けてるだけの自分達の出店スタイルがダサいなって思って。
森道市場ってなんか破壊力すごいじゃないですか?
全国の強者たちが集まってあのモンスターみたいな空間と空気感を作ってて。
自分達もSNEAKSらしいスタイルのあるカッコイイ出店をしたいし、森道市場ってこだわりを持った人達が集まってるから沢山の人を引き寄せる引力が生まれる場所で。
あの場所でもっと格好いいブースを作りたいって思って、すぐにKAKUOZAN LARDERのKIOSUKUを手掛けたTHINGの安井さんに相談して、丹羽さんと理想像を描いてアイデアを出し合って出来たのが2年目のSNEAKSのブースでした。
コンセプトは「アメリカの大きなマーケットでやってそうな豪快なハンバーガー屋さん」っていうテーマで、コワモテの人たちがハンバーガー焼いてその場で豪快にレタスやトマト挟んで、床には散らばった野菜が落ちて溢れてたりするんだけど、そういうラフさってカッコいいよねってなってブースを作って出店したんです。
ーとびきりのエネルギーが集結する場所『森道市場』
実は森道市場の主催者だった岩瀬さんが2021年の11月に亡くなって。
森道市場って何千人もの人が集まるような規模のイベントなのに、出店者との連絡とかそういう中核的なことは岩瀬さん1人で全部やってたみたいなんです。
今は岩瀬さんの右腕だった方が中心になって運営してくれてるんですけど、そういう事もあって2022年の開催はすごく大きな意味がある『森道市場』だったんです。
今でもすごく後悔してるのは2021年の『森道市場』に参加しなかったことで。
岩瀬さんに声を掛けてもらっていたんですけど「コロナもあるしテンションかかりきれないから」って参加しない決断をしたんです。
『SNEAKS』って結構派手にドーンってやんないとカッコよくなんないし「中途半端な感じになるのが嫌だからやめておこう」っていって出店するのをやめたんですけど、その決断を伝えた後も「なんなんだよお前、やめんなよー」って岩瀬さんから寂しそうに電話がかかってきたりしてて「すんません、逃げちゃいました」みたいな感じでずっとやりとりをしていて。
あの時のコロナの空気感だとしょうがないところがあって、みんながみんな探り探りで動いてて、どの決断も間違いじゃないと思うんですけど、そういうベクトルで判断しちゃダメだったのかもなって考えちゃう時があります。
僕らもそうですけど、全国各地の物凄い人たちが岩瀬さんにお世話になってて。
SNEAKSの屋台だってあんな規模のもの作るって簡単にやらせてもらえることじゃなくて、そういう無茶苦茶なことを言っても「やっていいよ。後の始末は全部やるから」って言ってもらってて。
とにかく変わりもんで面白い人だったんですけど、受け皿の大きさがとんでもなくて。
そういう話が森道市場の中にはいっぱいあって、出店者から湧き出るエネルギーがすごいんだと思うんです。
それがお客さんに伝わってあの空気感と心地良さを生み出してると思うんですけど、ずっとまとめてくれてた人が亡くなって2022年の森道市場の開催事態どうなるかっていう感じだったみたいで。あの規模のイベントなんでリスクもやっぱり大きくて躊躇して当たり前だと思うんですけどスタッフの方の決断で開催される事になって。
だからこそスタッフも出店者も『岩瀬さんに捧ぐ、森道市場』っていうパワーがすごくて。
岩瀬さんに「ありがとう」を伝えたい想いが詰まっていたし、去年参加の決断ができなかったことを惜しんだ分すごいグルーヴをみんな持ってきてて。
入り口のところに舌出してる顔の絵があったんですけど、実はあれ岩瀬さんがモデルになってて。
岩瀬さんのことを知らない人があの場所で写真撮ったりしてて、普段表には全然出ない人で自分がやってることもひけらかすような人じゃなかったんですけど、死んでもなおそこに森道市場があるっていう、その凄さにも痺れました。
そのストーリーを知らない人がいてもそのマインドが開催する側に入ってるから、ああいうグルーブが生まれるというか。DNAとしてみんな刻まれてる感じで。辛い部分もあったけど2022年の森道市場はすごい感動的で。
SNEAKSとして出店して自分達が「かっこいいだろ!」ってやれてるのは自分達の凄さじゃなくて、森道市場っていう器があってこそ。
それを違うフェスでやってもちょっと違う。ただかっこいい出店ブースになるだけで血が通ってないものになってしまう。
土俵を作ってもらってるところで泳がせてもらってる事をすごくわかってて、自分らがかっこいいことしてるわけじゃなくて、それを受け入れてくれる森道市場がすごいから、そのために森道市場をもっとカッコよく思ってもらえるために自分らが出せる力全部出してやってるイメージなんです。
血に勝るDNAみたいなものを岩瀬さんからみんなが受け取ってて、そういう目に見えないパワーが森道市場の凄さなんだと思ってます。
ーコロナの乗り越え方もポジティブだなって感じたんです。そこで立ち止まるんじゃなくて、この時間に何が出来るのか?って前に進んでいく姿勢がすごく良いなって感じて。
なんかあの時はみんなが特別な雰囲気でしたもんね。
止めちゃダメだなって思ってて、動きを止めちゃうと店が動かなくなるし店自体が息絶えるような気がして。
僕ら的には店の営業時間帯的にも補償金もらえる対象じゃなかったので逆に休まずに済んでラッキーだったんですよね。
「この時間をどう過ごせばまたみんなを喜ばせることができるかな?」って気持ちをぐっと切り替えて、小さなアクションでも良いからとにかく動くっていう。僕らはやれるんだし、開けてなきゃいけない。
休むほうが楽だし休んでる割に何にもチャレンジしない人もいて、その時出来る事を全力でやりたいし楽を選択することはらしくないなって思って。
身の回りの良い影響を与えてくれる人達はみんな動いてて、オンラインでとか手段を模索しながら先に進もうとしてて。リスペクトしてるお店の人達はコロナ禍でも忙しそうだったし、やっぱりそういう事だよなって感じたんです。
休んでる人を悪いとは思ってないんですけど、自分の中では休んだら負けでしょみたいな気持ちがあって(笑)
結果お店を開けてたら、みんな買いに来てくれて。ささやかなんだけど「こんにちは!」「ありがとうございます!」っていう一言を交わせる嬉しさも身に染みたし、足を運んでくれた人達も「お店に還元できた。助けることができた。」っていう想いを届けてくれてて。
オリジナルのタンブラーとかを毎週2個ずつ買ってくれる人とかがいて、「えっ、10個目くらいすけどいいんですか?」って聞いたら「いいのいいの、友達にあげるの」って言ってくれて。お菓子もごっそり買ってくれて「今日お菓子で8000円ですけど?」っていうと「いいのいいの、いつもありがと!頑張ってね!」って言ってくれたり。
忙しい時には忘れかけてる部分もあって目が覚めるというか泣けるくらい嬉しい言葉を掛けてくれる人もいっぱいいたりしたんです。
自分以外にもそうやってこの場所を大切に思ってくれて、わざわざ足を運んでもらえて。
改めてお客様にも育ててもらってるんだなって感じましたね。
コロナが始まった頃に『かかし』の間借り営業もスタートしてて、どうしようかってなった時に配達のアイデアが生まれて。
仕込みのリスクとかあるけど配達ってアイデアが面白いからそれなりに注文も入るはずだし、とにかくやってみよう!って話がまとまって、いざやってみたら好評で。
毎回毎週はやりたくないけど(笑)あぁいうのすごい面白かったですよね(笑)
やめることってすごく簡単で、ポジテイブに動けばちゃんと何かが生まれる。
コロナ禍で集中して新メニューに取り組む時間が出来たことでホットドックも新メニューとして提供できるようになって、それぞれのやり方で前を向いてちゃんと動くことって大切なんだなって思ったし、僕自身受け取る側に立った時、大きなアクションは出来なくても常に動くことを意識して行動していたお店にはやっぱりワクワクしました。
ー 『TEKIYA BROTHERS』それは昔ながらの熱気に溢れた空間
蒲郡にある『SUNDAY SPICE』の島田さんが主催でやってるイベントで、儲けとか人を集めるとか考えず、純粋にその場を楽しむためだけのイベントとして不定期開催でやっていて。
最初はお客さんとして参加していたんですけど、途中から僕とKAKUOZAN LARDERの丹羽さん、TUMBLEWEEDのコータローさんで加入させてもらったんです。
お客さんが垣根なくどの出店者にも注文して良いスタイルで、注文を受けた人が声を出してそれぞれのお店にオーダーを通したり、どのお客さんに出来上がった料理を届ければ良いのかわからなくなったり、ぐっちゃぐちゃになる瞬間もあるんですけど、そういう時に生まれる独特の熱気って他では味わえないグルーヴで。
効率よく上手くやることって今の時代重要視されてると思うんですけど、そこから少し離れたやり方をしていて「上手くやらないことをあえて楽しむ」っていう島田さんの美学が詰まったイベントなんです。
その思いに共感していつも参加させてもらっていて普段の仕事とは全く違う遊び方ができる場所として大切にしています。
ーEARLY BIRDSで使用しているコーヒ豆や店内を彩るお花などは、どんな理由で選ばれていますか?
シンプルに人柄ですね。それぞれのプロフェッショナルな部分を知ると「一緒に仕事がしたいな」って思って声を掛けさせてもらっている感じです。
例えばコーヒー豆をお願いしているgarage coffee companyはSUNDAY SPICEの島田さんに紹介してもらって出会ったんですけど、店主のあきよしは同い年なこともあってすぐに意気投合して。
普段は適当なことばっかり言う面白いやつなんですけど(笑)コーヒーに対しては凄く熱いものを持っていて。そこに気持ちが動かされてお願いするようになりました。
お花は元々EARLY BIRDSをスタートする前からTUMBLEWEEDのコータローさんと知り合いで、自分の周りの人もお祝い事や何かあるとコータローさんにお花を頼んでいたんです。
コロナが始まってささやかなんですけど「お店にいつも花があるの良いよな」って思ってすぐにコータローさんに相談させてもらって、そこから毎週お願いしてる感じです。
garage coffee companyさんもTUMBLEWEEDさんも周年祭の時にいつも駆けつけてくれたり、ずっと要所要所で助けてもらってる人なんです。
月日を重ね、そういう関係性も育まれて今ではEARLY BIRDSになくてはならない存在になってます。
ー10周年の節目でリニューアルされましたが、今回のリニューアルで大切にされた事はありますか?
それまでのEARLY BIRDSもすごく好きな場所で気に入っていたんですけど、10年前の自分と今の自分が好きなモノや意識するモノも、この10年の中で変化してきたんですよね。
そういうタイミングで「EARLY BIRDSの空間を広げてリニューアルしたら?」って案を社長から頂いて。
リニューアルすることが決まった時、自分がこれまで繋がってきた人達と一緒に作り上げる事が出来たらいいなって思って、まず大学時代からの縁があるREBUILDING CENTER JAPANの東野君に設計をお願いしたんです。
REBUILDING CENTER JAPANが掲げる「rebuild newCulture」の精神や多岐にわたる活動に刺激を受けていたし、どういうリスニングがあってどういう形作りをしてやってるのかとかもすごく興味もあって。お互いの良さが上手く掛け合わさった空間を設計してくれると思って依頼しました。
大工さんも千代田に住む知人の方にお願いして、料理を載せるプレートも名古屋で陶芸をやってる中囿 義光君にオーダーしたり、それぞれ出会ってからお願いするまでのストーリーとかもあって。
これまでの『繋がり』を大切にしながら今回のリニューアルの準備を進めました。
沢山のスペシャリストに力を貸してもらいながら、僕もできる限り親方に教えてもらい手を動かしREBUILDING CENTER JAPANに足を運んで手伝ってもらいながらテーブルを作ったりと、愛情をこれでもかと詰め込んで新しいEARLY BIRDSが完成。
携わって下さった方々と応援して下さった皆様のお陰で2022年3月4日に無事リニューアルオープンを迎えました。
こうやってみんなから受け取ったものがまたパワーの源に変わっていくんだなっていうのを感じながら、新しいスタートラインに立てる幸せを感じたし、この場所がみんなにとって良いスタートが生まれる場所になれるようにこれからも真心を込めて大切にしていこうと胸に誓いました。
ーこれまでの10年、これからの10年 当たり前にそこにあることの大切さ
いろんなお店の形があると思うんですけど「続いてる」っていう美しさがあると思っていて。
EARLY BIRDS も2022年の12月に10周年を迎えたんですけど「続けること」って本当に大変で。
その大変さが分かるから10周年を迎えたその時よりも11年目の1日目の方がかっこいいと思うし11年目の2日目の方がもっとかっこいい。そこに一つの美学や答えがあると思うんですよね。
振り返ってみると自分の実家の下宿屋も何十年と何気なく続いてるっていうのは普通に考えて凄い事だし、さりげないアップデートをちゃんと繰り返してきたからこそ続いてるんだと思うんです。
ここ数年はコロナもあって特に継続することに意識が強く向いていたと思うんです。
歩みを止めずに仲間と励ましあいながら小さな一歩の積み重ねで今日がある。
今日もまたその一歩を歩んで明日に繋げていく。
そうやって刻み続けてカタチになって、繰り返し重ねていく1日をポジティブに過ごせば、また感動する景色がこの場所で見れかもしれないなって期待していて。
大袈裟なイベントもしなくて、ただただちゃんと店が開いてて、いつものメニューがそこにある。
雨の朝も風の夜も、いつも通りそこにある場所。
そんな風にお店を守り続けていくっていうのも、ひとつの答えかもしれないなって思ってます。
EARLY BIRDSが出来た時に小学校4年生だった子が大きくなってアルバイトで入ってくれて、年明けに成人式を迎えた時に晴れ着姿で立ち寄ってくれたんです。その時は言葉にならないくらい嬉しくて!そういう光景が見れるのも続けてきたご褒美みたいなものだと思うんです。
この10年で自分自身も変化してるし、新たに出会えた人も沢山いる。
同じフィールドで一緒に走ってきた人達もみんなそれぞれ進化していて、良い刺激をもらって化学反応や新陳代謝を繰り返して体温を上げながら10年っていう節目に辿り着いて。
「世界一の朝食屋にしたい!」その気持ちで走り続けて見えた新しい景色は、こんなにもたくさんの愛情が溢れた空間になるなんて想像してなかったんですよね。
朝から活気があって家族もいれば犬を連れてる人もいて、外国人もいればおじいちゃんおばあちゃんもいる。その傍では自転車の修理をしてる光景が寄り添っていてっていう、EARLY BIRDを立ち上げる時にイメージしていた景色がそこにあって。
キッチンからその景色がふと目に飛び込んでくる度に感動するし、僕ひとりの力でここに立てるわけじゃないから、いつも支えてくれたり刺激をくれる家族や仲間たちへの感謝の気持ちもどんどん大きくなっていく。
その気持ちをポジティブにぶつけながら、これからも始まりの場所で美味しい朝食を作り続けられるよう頑張ろうと思っています。
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『アルコール消毒』『三密の回避』『検温』『マスクの着用』など
感染症対策を徹底した上で取材・撮影を行なっております。